荘司徳太郎・清水文吉編著『資料年表 日配時代史 ― 現代出版流通の原点』(出版ニュース社, 1980年)
会社名
日本出版配給株式会社 / 日本出版配給統制株式会社
社史名
『資料年表 日配時代史 ― 現代出版流通の原点』
配架場所:千代田図書館「出版にまつわる本棚」
資料番号:130233844 請求記号:出版流通 / 024ニ
社史紹介
会社紹介
日中戦争から第二次世界大戦にいたる戦時体制下において、出版物配給を一元化するため設立された企業。通称「日配」。1941(昭和16)年、当時日本全国に200以上あった取次業者を統合し、東京神田に本社を置いた。「出版新体制」とよばれた出版界における経済統制・言論統制強化のための業界再編を、出版流通・配給面で支える国策会社として出発したものの、戦況悪化に伴う物資不足・応召者の増加・物流網の麻痺などで業績は沈滞し、1944(昭和19)年に組織改編、日本出版配給統制株式会社となった。1945(昭和20)年の敗戦後日本出版配給株式会社に復したが、 戦時体制を支えた財閥・巨大企業解体の動きのなか、分割・閉鎖の指定を受け、1950(昭和25)年に閉鎖完了、 業務は解体の結果生まれた東京4社・地方5社からなる「新取次会社」に事実上引き継がれることになった。
内容紹介
出版ニュース社の創業三十周年記念事業として刊行。出版ニュース社は、日配の元役員を中心に1949(昭和24)年設立された後継企業の一つである。編著者は日配の誕生から終焉まで関わった元社員で、日配の歴代機関誌を基本資料とし、残された稀少な記録や内部資料を渉猟し、当時存命だった関係者への聞き書きなどで補いつつ、日配誕生前史から清算完了までを詳細に記録している。30頁近い「第2部 資料編」、110頁を超える「第3部 年表」、人名索引付き。取次中心の流通構造が近代日本の出版業の特色といわれるが、その確立・展開における日配の存在感の大きさがよく分かる基本資料であり、昨今の出版不況を構造的問題として捉えるとき、歴史的視座を与えてくれる示唆に富む同時代の証言であるともいえよう。
なお、姉妹編というべき著作に、編著者の一人である荘司徳太郎の『私家版・日配史 ― 出版業界の戦中・戦後を解明する年代記』(出版ニュース社、1995年)がある。著者自身の見聞・体験をもとに、1978(昭和53)年から1994(平成6)年にかけて業界紙『出版時事』に連載された記事を復刻し、目次・索引を付したもので、『資料年表 日配時代史』を補完するものである。
内容注記
【図版】
巻頭:
・「日配本店(旧大東館、東京市神田区淡路町2ノ9)」(本社社屋の外観写真)
本文中:
・歴代機関誌『日販通信』・『出版普及』・『新刊弘報』・『出版弘報』・『出版ニュース』表紙写真
【付録】
・第2部 資料編
・第3部 年表
・人名索引
関連文献
- 荘司徳太郎『私家版・日配史 ― 出版業界の戦中・戦後を解明する年代記』(出版ニュース社、1995年)
- 成富弘幸「終戦期にいたる出版流通史の一考察」(『日本出版史料』9、2004年)
- 佐藤卓己(『言論統制 ― 情報官・鈴木康三と教育の国防国家』(中公新書、2004年)
- 吉田則昭『戦時統制とジャーナリズム ― 1940年代メディア史』(昭和堂、2010年)
- 橋本求『日本出版販売史』(講談社、1964年)
- 村上信明『出版流通とシステム ― 「量」に挑む出版取次』(新文化通信社、1984年)
- 蔡星慧『『出版産業の変遷と書籍出版流通 ― 日本の書籍出版産業の構造的特質』(出版メディアパル、2006年)